2024年に読んで良かった本
Published at 2024-12-23
2024 年は 52 冊の本を読んだらしい。今年は TechTrain でインタビューをしていただく機会があり、そこでも偶々読んだ本の話をした。
🆕キャリアを考える時に読んで欲しい本 📚
— TechTrain 公式 (@TechBowl1) October 16, 2024
前回、キャリアへの向き合い方を語ってくれた @1000ch さんが若手エンジニアにおすすめしたい書籍たち。
キャリアについて悩んでいるとき、"視野を広げたい"と思ったときに読んでほしい記事🧙♀️
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異なる様々な業態の会社での組織造りを含めたモノづくりへのコミットを通じて、自分なりの理想形を考えてきた。そしてそれは、いわゆる「開発組織マネジメントの本」に限らず、社会・人文といった広い分野の本を読む中でアナロジーを感じる場面も多い。
NETFLIX の最強人事戦略
性悪ではなく性善への徹底的なフォーカスで、従業員のモチベーションを最大限に引き出す。管理手法やインセンティブといった表層的な従属ではなく、ミッションを共有しタスクではなくイシューに向き合う優秀な人材を集めることに尽きる。
- どんな文化でも抜本的に変えようとするときは、単に理念や業務方針を示すだけでは不十分であり。まず従業員に一貫してとってほしい行動をはっきりと打ち出し、続いてそれを実行するための規律を定着させる必要がある
- 優れたチームとは、これからどこに向かおうとしているかをメンバー全員が知っていて、どんなことをしてでもそこに到達しようとするチームのことだ。優れたチームをつくるのは、インセンティブや管理手法や従業員特典などではない。必要なのは、一人前の大人として挑戦に立ち向かうことを切望する有能な人材を採用し、その挑戦が何なのかを、彼らにはっきりと継続的に伝えること
- 「有機的に」とは、会社の目標や、時間と資源の配分方法、集中してとりくむ問題、それらを解決する手法を、事業や顧客の必要に合わせてたえず変化させているということ。そうした企業は成長し、変化し続ける有機体であって、あらかじめ決められた目標、人員、予算に縛られた、硬直的な組織ではない
- 会社は家族ではなくスポーツチームであり、キャリアマネジメントの責任はない。一番やってはいけない間違いのひとつは、重要ではない評価指標に固執すること、その好例が従業員定着率。人事の仕事は、従業員の満足度を図ることではなく、その実際は解雇することなのだ。採用チームも事業構築の重要な貢献者として「事業にとって何が重要か」を理解しなくてはならない
日本の難点
いつも通り宮台さんの書籍は読み解くことに苦労する。この書籍の初版が 2009 年ということ、そして 2024 年末においても社会構造の課題が変化していないことへの衝撃が大きい。
- 尊厳と他者性が結びついているか。つまり、自分が自分であることを支えるために他者が関与しているか。旧来は、血縁関係や地元といった「近さ」という事実性が重要な意味を持っていたが、人口の増大と流動性の確保によってコミュニケーションが希薄化した。マスメディアの退潮も分化した趣味を共有できる空間がインターネットに無数に発達したため、共通の前提を与えられなくなった
- 社会学者のニクラス・ルーマンは「おかしなことは何も起こりません」という期待を「慣れ親しみ(安心)」と呼び、「いろいろあっても大丈夫です」という期待を「信頼」と呼んだ。「安心」は脆弱だが「信頼」は強靱であり、対面コミュニケーションを「信頼」ベースにするべき
- 戦後の高度経済成長期を支えた、終身雇用や年功序列という慣習は組織における既得権益を生み出し、現在における社会の望むべき変化の強い抑止力になっている。正規雇用の過度な保護は雇用の流動性を失わせ、労働者から挑戦し変化する意欲を奪い、産業構造の代替を促さない。非正規雇用と正規雇用の垣根を低くし、企業には解雇の事由を与え、働けなくなった事態には、社会保険を含むセーフティネットを用意する
社会契約論
当たり前に存在している社会や国家を、人類がどのように形成しているのか。国家・主権者・自由意志・一般意志といった非常に抽象度の高い言葉で、社会契約の本質的な条件を整理している。1762 年の発行であり、その抽象度故に難解だが、読んだ後には世の中が違って見えてくる。
- 子供と親の絆は、子供の生命を維持できるかどうかという問に尽き、自立可能になった瞬間から子供は親への服従義務はなくなり、親は子供の養育義務から解き放たれる。人は生まれながらに自由であり、子供を売り渡す権利を親は持たない。自由の放棄は人間としての権利や義務を放棄することだ
- 人類は自然のまま生きることが難しくなってきた故に、それを凌駕する力を得ようとした。しかし力を生み出せないため、力を合わせて統制しようとする。力を合わせるのだが、個々の自由は力は個々保存に使われる道具である以上、自己に対する注意を削ぐことなく他の用途に充てなくてはならない
- この社会契約で引き換えになるのは、自由意志やすべてのものに対する無制限の権利であり、獲得できるものは社会的自由と所有物に対する一切の権利である。さらに道徳的自由が付加されて、人間が社会的に人間たる。社会契約は、生まれながらに存在する肉体的不平等の代わりに、精神的平等と合法的平等を齎す