Service Workerでブラウザにプッシュ通知をする
Published at 2015-08-17
Service Worker でブラウザにプッシュ通知をする方法については、既に解説記事が幾つかあるのできっと面白くありません。ただの作業ログです。概論についてはウェブのプッシュ通知、何がそんなにすごいのか? - Tender Surrenderという記事を見てください。
前提と大まかな手順
例によって Service Worker 周りの実装が進んでいる Chrome Canary で試す。また、配信元は HTTPS 環境でないと Service Worker をインストール出来ないので、GitHub Pages でホストする。プッシュは、今のところ GCM( Google Cloud Messaging )のみ対応しているので、そのあたりの準備もすることになる。
- GCM にプッシュデータ配信を行うサーバーのプロジェクトを用意する
- 1.で作成したプロジェクト ID を Web App Manifest の
gcm_sender_id
に指定する - HTML ページ及びサーバープッシュを受ける準備をした Service Worker を用意する
- 3.を HTTPS 環境下で配信する(今回は GitHub Pages )
- 4.で用意したページに Chrome Canary でアクセスし、Service Worker をブラウザにインストールする
- 1.で作成したサーバーにプッシュの配信リクエストを行う
GCMとは
以下 Google Cloud メッセージング(GCM)の使用 からの引用。
Google Cloud メッセージング(GCM)は、デベロッパーが Android、iOS、Chrome といった複数のプラットフォームにメッセージを送信できる無料のサービスです。たとえば、サーバーから 1 つの端末、端末グループ、または特定のトピックを定期購入している端末に、メッセージを直接送信できます。また、端末に搭載されたアプリも、サーバーや同じグループに属する端末にメッセージを直接送信できます。
Google Developer Consoleにプロジェクトを作成
Google Developer Console から「プロジェクト作成」。
作成したプロジェクトを選択し、左のメニューの「APIと認証」→「API」から次の 2 つの API をプロジェクトに対して有効化する。
- Google Cloud Messaging for Chrome
- Google Cloud Messaging for Android
前者は最初探しても見つからないのだが、入力エリアに「Messaging」あたりを入力すると表示される。
次に、作成した GCM サーバーへリクエストをするために、API キーを発行しておく必要がある。左のメニューの「APIと認証」→「認証情報」から、APIキーの認証情報(サーバーキー)を追加する。作成するとトークンが発行され、これをプッシュ通知の POST リクエストを実行する際に付与することになる。
Pushを受け取るWebアプリ側の準備
一式は、1000ch/service-worker-push-notificationに配置してあるが、ひとつづつ説明していく。
index.html
- プッシュリクエストをする際に必要になる SubscriptionId を表示しているapp.js
- ロード時にservice-worker.js
を登録しているservice-worker.js
- プッシュを受け取ってブラウザに通知を出す Service Workermanifest.json
- Web App Manifest に GCM のプロジェクト ID を記述しておく
という最小限の構成。
app.js
Service Worker 登録時のコールバック引数に渡される registration
オブジェクトには pushManager
という、名前の通りプッシュ通知周りを管理するインターフェースを持つオブジェクトが存在する。
'use strict';
document.addEventListener('DOMContentLoaded', e => {
navigator.serviceWorker.register('service-worker.js').then(registration => {
registration.pushManager.subscribe().then(subscription => {
console.log('GCM engpoint is: ', subscription.endpoint);
});
}).catch(error => console.log(error));
});
この pushManager
の subscribe()
という関数を実行すると、自身をクライアントとしてプッシュサーバーに登録し、エンドポイントURLを取得できる。
ChromeにはプッシュインフラとしてGCMがあるが、このあたりがどのような着地になるのかまだわかっていない。ベンダー毎に違う部分をWeb標準でどのように吸収するのか、自身でプッシュサーバーを持つ場合はsubscribe()
に指定できるようになるのか、とかとか。
service-worker.js
Service Workerとはそもそも…な話は Service Workerに関する仕様とか機能とか を見てもらうとなんとなくわかるはず。
self.addEventListener('install', e => {
console.log('Service Worker oninstall: ', e);
});
self.addEventListener('activate', e => {
console.log('Service Worker onactivate: ', e);
e.waitUntil(self.clients.claim());
});
self.addEventListener('fetch', e => {
console.log('Service Worker onfetch: ', e);
});
self.addEventListener('push', e => {
console.log('Service Worker onpush: ', e);
e.waitUntil(
self.registration.showNotification('Push Notification Title', {
body: '(・∀・)',
icon: 'http://placehold.it/192x192',
tag: 'push-notification-tag'
})
);
});
Service Workerコンテキストで push
イベントをハンドルし、その中で通知を表示している。注意したいのは、Web Notification API ではなく、Service Worker コンテキストから実行する通知の API であること。
manifest.json
Web App Manifest はアプリケーションの制御に用いられるフォーマットで、起動方法のコントロールや、インストールバナーの表示といったことが可能になる。Manifest for a web application - W3C Living Document に仕様が記載されており、サマリは WebApp マニフェストの追加 - Google Developers を見ると良い。
以下のような JSON フォーマットのファイルを作成し、HTML からは <link rel="manifest" href="manifest.json">
のように参照する。
{
"name": "Push Notification Demo",
"short_name": "Push Notification Demo",
"icons": [{
"src": "http://placehold.it/192x192",
"sizes": "192x192",
"type": "image/png"
}],
"start_url": "/index.html",
"display": "standalone",
"gcm_sender_id": "(作成したプロジェクトのプロジェクトID)"
}
gcm_sender_id
は Chrome から参照される特別な(というか専用の)属性で、GCM のプロジェクト ID を指定する必要がある。
Pushサーバーに配信リクエスト
HTTPS にホストし、Chrome Canary でアクセスすると通知を受け取る準備をしてある Service Worker がインストールされる。あとは GCM サーバーに規定通りの POST リクエストを送るだけ。
curl --header "Authorization: key=(作成したプロジェクトのAPIキー)" --header Content-Type:"application/json" https://android.googleapis.com/gcm/send -d "{\"registration_ids\":[\"(エンドポイント文字列)\"]}"
エンドポイント文字列は app.js
で pushManager.subscribe()
して返却される subscription オブジェクトの endpoint
の値から https://android.googleapis.com/gcm/send/
を除いたものになる。エンドポイントアドレスとしては返却値で良いんだろうけど、GCM のリクエストインターフェースがこの仕様というだけ。
ちなみに 1000ch/service-worker-push-notification では Fetch API を使って同等のことをブラウザから実施しようとしたが、リクエストオリジンの制限に引っかかって NG だった(API キーを晒しているが、既に破棄済のプロジェクト)。
先程の POST リクエストのリクエスト Body に入れている registration_ids
には複数の RegistrationId を指定できる。今回はデバッグ的に cURL でリクエストしたが、クライアントに RegistrationId が付与されたらサーバー等に送信して集計し、プッシュサーバーに配信リクエストを送る仕組みからまとめてリクエストするのが本線っぽい。
まとめ
ただの作業ログでした。現場からは以上です。
- ウェブのプッシュ通知、何がそんなにすごいのか? - Tender Surrender
- Push Notifications on the Open Web - Google Developers
- ChromeでW3C Push APIを使ってみた - Qiita